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裸のチャリ族がまちを掻き回す。世界の一大奇祭

MOVEMENT

Photo by istolethetv from Flickr

自転車にまたがった、裸の集団が颯爽とまちなかを駆け抜けていく。

あろうことか、下着すら着ていない女性もかなりの割合でいて、目のやり場に困る……。

歩行者たちはといえば、笑顔で手を振り、持っている携帯をかざせば、サイクリストたちは、満面の笑みでポーズを決める。ポリスが後を追ってくることもない。なんとも異様な光景だ。

世界の一大奇祭

これは、ヌーディストたちの怪しい集まりではなく、世界的な広がりを見せる「World Naked Bike Ride (裸の自転車まつり) 」のワンシーンである。

裸の自転車まつりは、諸説あるが2004年にスペインを中心にヨーロッパで産声をあげた。今で

は、南米からアフリカ、アジア各国まで、世界20カ国・約80都市、延べ数万人の参加者を擁する、世界の一大奇祭となった。

ユーモア溢れる裸族たち

Photo by Getty Images

“裸の自転車まつり運営事務局”なるものが、参加者に提示している謳い文句は、「As bare as you dare (あえて裸で) 」。もちろんコスチュームや露出度の割合は、それぞれが自由に決めることができる。

開放感溢れる、なんとも気持ち良さそうな奇祭だが、異性の裸を見て盛り上がるだけの単なる“楽しい系”イベントではない。注目すべきは、参加者が身体に書き込んでいるメッセージにある。

「Less Gas, More Ass!(ガスは少なく、もっとお尻を!)」

「Burn Fat Not Oil! (石油ではなく、脂肪を燃やせ!)」

「Road 4 All (道路はみんなのモノ)」

もともと、環境問題に警鈴を鳴らすことを目的に開催されたイベントならではのユーモアは、さすがは欧米人のセンスといったところか。

Photo by Ali Ghalambor from Flickr

それでも、課題はある。裸でまちを疾走することを快く思っていない歩行者がいることは、想像に難なくない。特に、物心つきはじめた小さな子どもを持つ親にとっては、なるべく目を防ぎたくなるような光景だろう。過去には、行き過ぎた行動で逮捕された人もいるというから、参加者のモラルが問われる。

世界の共通言語は“裸”

Photo by Getty Images

ときに過激すぎると非難されることもある裸の自転車まつりが、なぜ世界的な広がりを見せているのか。

一つには、特別な資格や能力を必要とせず、誰もが参加しやすいシンプルさだろう。それでいて、世間の注目を集めやすい。そして、忘れてはならないのが裸は全世界の共通言語であるということ

「みんなが裸になれば、そこには変な仲間意識が芽生え、恥ずかしいといった感情は薄まります。人々の注意を呼び起こし、メッセージを社会に拡散していくために必要なアクションの一つだと思っています」。参加者の一人は、興奮気味に話す。

自身の身体を広告塔として、「自転車」という自らが生み出すエネルギーをもって、まちを駆け巡る。広告費も燃料代もゼロに抑えつつ、社会へのメッセージを発信する。健康と爽快感といったオプションつき。シンプルでありながらも、強烈なインパクトを残して走り去るサイクリストたちに目が釘付けにならないわけがない。

対話が生まれてこそ意味がある

Photo by Tanya K.

賛否両論あるにせよ、議論のタネをまく。そこに、この奇祭が開かれる真意があるように思う。その先にある市民の“対話”。それこそが「裸の自転車まつり」が描き出す未来のあり方なのかもしれない。

世の中の課題を真面目に伝えても、伝わる人にしか伝わらない。

ユーモアを忘れず、ときにスパイスを加えつつ、人々を巻き込んでいく。

人生は、楽しんだもの勝ち。化石燃料で動く分厚い鋼板で囲まれた空間で、前を走る車を煽ってしまった日には、自転車にシフトチェンジしてみてはいかがだろうか。夜風に快走すれば、ちょっとスパイスの効いたアイデアの一つや二つ、思い浮かぶかもしれない。

Writer: Kenji Takeuchi

 
 

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