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手のひらから手の中へ。体内をハックするデバイス

TECH

Photo by Alec Couros from Flickr

「目を盗みやがったなァ!」とは来年ハリウッド化もされる、アニメ攻殻機動隊に出てくる台詞だ。セリフ主のバトーは目を機械化しており、闇夜でも敵を見分けることができる。

盗む、というのは目がハッキングされて見えなくなった、ということだ。これはもう、遠い未来の話ではなくなっている。

舞台設定の2029年はまだ先のこととはいえ、人間の機械化は着々と始まっている。

ウェアラブル分野で有名なFitbitのデザイナー、ガディ・アミットは新たに埋め込み型デバイスのコンセプトモデルProject Underskinを発表した。

デジタルタトゥーとも呼ばれるこのデバイスは、手のひらに埋め込むことで身体の状態を計測するセンサーにもなれば、個人認証をして鍵を開けたり、データの共有だってできてしまう

世の中のあらゆるものは人の手によって生まれた。「手を入れる」「その手があった」「手を尽くす」「手グセが悪い」。その手がスマートになったら、一体どんな生活へのインパクトがあるだろうか。

自分は知らない、手がなんでも知っている。

Photo by Jay Peg from Flickr

学生の時は焦ると色々なことを忘れがちだったが、いまは手のひらによる自動認証で戸締りを忘れることはなくなった。

午前中は銀行との打ち合わせがある。新たに始めるビジネスの融資を得るためだ。さわやかな出で立ちの銀行マンは事業計画を一通り聞くと、「だいたい分かりました。随分ハードにお仕事されているように見えますが、体もいたって健康なようですし、この融資額で上と話をしてきますね。」と言って去っていった。

先日出した健康データのことを言っているのだろう。友人に「フリーになるなら今から健康だけは気をつけておけよ。良ければ融資とりやすくなるから。」と言われ、それ以来酒もタバコもやめている。実績はまだまだないが、健康な分評価はしてもらえているようだ。

Photo by Wirawat Lian-udom from Flickr

午後、古くからの悪友と会った。相変わらず口が達者なやつで、自分がまだ結婚していないことを「仕事しすぎなんだよ」とチクチク言ってくる。ニコニコして聞いているつもりだったが、ふと手のひらの表示を見ると感情が怒りに傾きかけているのがわかった

「あ、自分は今怒っているのか。」と気づき、解消しないとマズイと思った。去り際に「まあ、3回も結婚してるやつの言うことだもんな。真摯に受け止めるよ。」と告げて席を立つ。手のひらの怒りの表示は綺麗に消えていた。

「嫌だよ、怖いじゃん」

バツの悪くなった悪友は財布を取り出して、「冗談だよ、本気にするな。ここは俺が払うから」とレジに向かった。そんなことで変に帳消しにされても嫌なので、「いや、僕も払うよ。」と一緒にレジの前に立った。

そういえば自分は長らく財布を持ち歩いていない。決済は全て手があれば問題ないからだ。地下鉄もタクシーもコンビニもおなじ。「お前、まだ埋め込まないの?」と問いかけたら、「嫌だよ、怖いじゃん。」と言って彼は去っていった。

Photo by Nathan Cooke from Flickr

歩いていると、手のひらにプッシュ通知。「風邪の予防ににんにくでもどうですか?」と来た。体は万全なのだが、このあとパーティがある。以前無視してたら本当に風邪をひいたことがあったので、忠告は素直に聞くべきだろう。

Photo by Charles Siritho from Flickr

夜のパーティでは友人にいろんな人を紹介された。昔の合コンはSNSを交換するのが当たり前だったが、今は握手でこと足りる。当然、嫌な相手は認証しないが(握手もゴメンだ)、お互い信頼できると瞬時に色々情報交換できる。相性がいい時には色が変わるのだが、まだその時の気恥ずかしさはなくならない。

美人ならなおさらだ。おかげで、不必要な人付き合いをしたり、後で痛い目を見たりすることは少なくなった。「昔に比べたら今の若者はメンタルが弱い」と言われるが、メンタルが強かったとされる昔よりも自殺者が減ってるんだから、別にいいんじゃないか?と心の中でつぶやいていた。

手のひらは自分の知らない自分を教えてくれる。健康も、気持ちも、ビジネス上の可能性も。付き合い方はみんなそれぞれだ。家ごとに味噌汁の味が違うように、埋め込みデバイスもみんな自分ルールみたいなのをつくりながらうまくやっているのだろう。

これは未来を予測したストーリーである。フィクションではない。今のProject Underskinでは上記の個人認証・データ交換・感情や健康状態表示などができる。これを聞いて、あなたは私しい「常識」に、当応できるだろうか?

Writer: Yasuhiro Takagii

 

 

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