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図書館と農業がコラボした?「種の図書館」

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商業目的で栽培される果物や野菜の「種」市場の60%を、世界の大手企業6社が握っているのをご存知だろうか。

「たかが種、されど種」。

多くの食べ物は種から生まれる。

余談だが、これら大企業のほとんどは、種子専門ではない化学専門の会社である。

数年後に、人口が90億人に達する地球。膨大な数の胃袋を満たすには、大量の食材をより早く、より安く、多くの消費者へ届ける必要がある。このことを考えれば、大手企業の参入も必然だろう。
ただ、品質は後回しになるのだが。

もはや個人の力ではどうにもできないまでに肥大化したフードビジネスの仕組み。
ここに風穴をあけようとする動きが、アメリカの各都市で起こっている。

その場所は、“地方の図書館”。

Photo by 国滨 王 from Flickr

種の図書館が革命を起こす

その名も「Seed Library」、種の図書館だ。

と言っても種に関する図書のレンタルではない。

種そのものの貸し借りを中心に生まれる、地域コミュニティのことだ。

実際に、図書館の脇に専用スペースが設置されているところもある。

Photo by Paul Lowry from Flickr

現在、全米の400に及ぶ場所でこの動きが広まっているという。

仕組みは至ってシンプルだ。

利用者は、無料または低額で種を借り、それを元に食物を育てる。
収穫した食材から種を採取しコミュニティへと返還する。

一つの種からたくさんの種が作られることもあるため、利息率も非常に高い。

銀行と図書館と農業のいいところをコラボさせたような取り組み。

収穫した野菜を友だちや家族と食べることを目的に設立されたものから、参加者同士のコミュニティづくりや環境保全活動の一旦を担うものまで、地域によってそのカタチはさまざまだ。

食糧システムを修正する3つのルール

Seed Libraryが大切にするルールは、3つ。

1. Borrow(借用)

種のレンタルは、Seed Libraryが力を入れる取り組みの一つ。
仕組みは上述の通りだが、注目すべきは「循環」だ。自分が育てた果実の種が、次の誰かのお腹を満たす。
この循環を回し続けるための責任を参加者みんながもっている。そのため、種を通じて人を思いやる気持ちや一体感がうまれるのだ。

2. Save(保存)

種の循環によって生まれる自給自足の暮らしは、地域における食糧の蓄えを増やすことに他ならない。
それらを域内で消費することで、お金もまた循環する。
まさに、地産地消。
自分たちの手で食べ物を作れば作るほど「既存のフードシステムからの脱却」と「小さな経済の確立」へと暮らしを前進させることにつながる。

3. Share(共有)

ひとつの野菜から数百の種が採れるように、本来、自然は共有することを前提に成り立っている。
自分の作ったトマトの種をお隣さんとシェアしてみる。
身近な取り組みが、健全なる地産地消の一手になるといえる。

1万年前からの習慣

これらの取り組み、実は何も革新的なものではない。

「1万年も前から私たちが、日々の暮らしにおいて当たり前のように実践してきたもの」と関係者は話す。

Photo by Internet Archive Book Images from Flickr

何も投票所に足を運ぶだけが、市民としての責任ではない。
行政や大手企業に仕組みづくりを委ねる時代は、昔の話し。

自分たちのお金の使い道を考え、貨幣に頼り過ぎない食の経済圏を創っていく地道な取り組みこそが、暮らしや社会を豊かにする。

一人ひとりの意識や習慣からボトムアップ的に世の中を変えていくことの楽しさを、パラダイムシフトの兆しを、Seed libraryの取り組みは示している。

Writer: Kenji Takeuchi

 

 

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