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国民が大統領に「反抗」するために服を脱いだ理由

MOVEMENT

ベラルーシは、ヨーロッパにある小さな国。

そこでは今、どうやら「#getnakedandwork(裸で仕事を)」というハッシュタグとともに、自分の裸をSNSにアップすることが流行っているようだ。

いや、流行っているというよりも、そうせざるを得なかったのかもしれない。

なぜなら、それは大統領の「命令」であったからだ。

ちょっとした大きな「言い間違い」

Photo by Presidencia de la República del Ecuador from Flickr

ソ連解体時に独立をした小さな国家、ベラルーシ。

その国の大統領、ルカシェンコ大統領がとんでもない演説をしてしまった。

大統領がその演説を行ったのは、ベラルーシ人民大会の場である。

ここでの発言は、国民へ多大な影響を与えるといわれている。そこで彼は国民に向け、堂々とした口調でこう述べた。

「イノベーションやIT、テクノロジーが発展している。それに伴い、国民も『服を脱いで』就労に励まなければならない

服を脱いで……?

実はこの発言。

大統領が意図したことではなく、ちょっとした言い間違いから起こってしまった「事件」である。

ベラルーシ語で、「服を脱いで」という単語と「発展」という単語はとてもよく似た発音をしている。

そのため、大統領はうまく舌が回らずに、「服を脱いで」と意図しない発言をしてしまったのだ。

本来、彼が伝えたかったことは「……国民も『発展』し、就労に励まなければならない」ということ。

しかし、少しの言い間違いで、全く違う宣言を全国民に向けてしてしまった。

「裸」で仕事に励む「国民」

その言葉に従ったのは、ベラルーシ市民。

その翌日からあれよあれよと、国民が「服を脱いで」仕事をし始めたのだ。

オフィスワーカーも、レストランのシェフもみんな裸。

その様子は、「裸で仕事を」を意味するハッシュタグ、「#getnakedandwork」とともに大量にSNSにアップされた。

そしてその写真がまた、別のベラルーシ市民の行動を促し、SNSは多くの裸のベラルーシ市民で埋め尽くされる結果になった。

「裸」に「ならなければならない」国だった

Photo by Viktor Kirilko from Flickr

裸で写真を撮るベラルーシ国民。

一見、ジョークめいたこの活動だが、この裏には多くのベラルーシ市民の国への反感が隠れているのかもしれない。

ベラルーシは独裁政治を貫く国家。

その独裁っぷりは各国からも多くの批判を浴びており、アメリカのブッシュ元大統領は、「最悪の独裁国家」と発言しているほどだ。

また、ヨーロッパ各国からも「ヨーロッパ最後の独裁者」と呼ばれている。

今回この「裸発言」をしたルカシェンコ大統領は、1994年に初当選を果たし、すでに2020年まで政権を握ることが確実となっている。

しかし、彼の政治は独裁政治そのものだ。

まず、国民に言論の自由が与えられていない。

彼の政策に反対する発言や言動をとるものには警察が制裁を加える。

また、メディアも政府の支配下に置き、野党を支持するような文面を展開した新聞社の銀行口座は締結させてしまうといった具合である。

そもそも選挙自体も第三者の厳しい管理のもとで行われたものではないため、不正の可能性が著しく高いと言われている。

「法律」の制定は「大統領」の「気分」

Photo by United Nations Development Programme in Europe and CIS from Flickr

今ではベラルーシのモデルが海外に渡航ができないという法律まで大統領の気分で制定されてしまった。

美女大国としても知られるベラルーシでは、モデルは国が認めた資格であり、国立のモデル学校は無料で通えるほど。

美女たちを「国の宝」だと大統領は考えているのだ。

しかしある日、交差点でフランス人の女性がモデルとなった広告を見つけてしまった大統領。

彼はそれに憤慨し、「ベラルーシには美人がたくさんいる。しかし私が毎日通る道の交差点にクチャクチャな顔をしたフランス人の顔が写っている。とんでもないことだ」と発言。

そしてベラルーシのモデルも海外に流出することを恐れ、モデルの海外渡航を固く禁じることにしたのだ。

さらに大統領は「拍手禁止」という法律までをも制定した。

これは、彼が大統領に当選した際、国民が一切歓声を上げることなく、拍手「のみ」で大統領を迎えたことが気に入らなかったためである。

彼はこの身勝手な法律の制定をきっかけに、「イグ・ノーベル賞」という、平和に貢献していない人に贈られる「不名誉な賞」を受賞した。

「裸」はできる限りの「反抗」

Photo by my Life, the Universe and Everything from Flickr

ベラルーシ人々が裸の写真をSNSにアップする。

この行動は一種のブームやイベントのように見受けられてしまうだろう。

しかしベラルーシ市民にとって、裸の写真をアップする行為は、国への反抗が込められているのかもしれない。

メディアに言論の自由を与えず、大統領の機嫌によって拍手をすることが禁止されてしまったこの国で、裸の写真は、右を向けと言ったら右かなければならない独裁政治を皮肉る「最大限の抵抗」なのだ。

ベラルーシは日本人にとっては「最も遠い国」の一つであるが、ベラルーシでは、英語の次に日本語を学ぶ若者が多いそうだ。

私たちも「#getnakedandwork」を機に、この国のことを知ってみてもいいかもしれない。

きっと民主主義をとる一国民として、日本の未来のためにすべきことが見えてくるだろう。

Writer: Asuka Yoshida

from BeInspired!

 
 

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