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「ファストジーンズ」に反逆する男、細川秀和

PEOPLE

Photo by Tomoko Suzuki

毎日のファッションに欠かせないジーンズ。

あなたは、なにを基準に選んでいるだろうか?
色?それともダメージやケミカルウォッシュに代表されるイカした加工?
もしそうだとしたら、あなたは本来のジーンズを理解していない。

そんな風にジーンズを選ぶあなたはむしろ、「“フェイクファション”の犠牲者」なのだ。

ファストに抗う、ジーンズ業界の反逆児

Photo by Tomoko Suzuki

「真っ青なジーンズを10年、20年と履き込んで、やっと『なにそれ、すげーかっこいーじゃん!』って人からいわれる。『あの時、犬の散歩しててコケた擦り傷が今もここに残っているけど、まだ履いていたい』そんな洋服としての終焉を迎えても、ずっと一緒にいたい。そう思える商品が、本来のジーンズ。」

そう熱く語るのはジーンズ業界の「反逆者」、Lee Japan取締役の細川秀和だ。

Photo by Tomoko Suzuki

この男はなんと、ファスト化したジーンズをたった一人で「無理やりスロー化」しようとしているのだ。

どこでも買える、“履き込んだジーンズ”

Photo by Tomoko Suzuki

ジーンズはかつて、スローファッションの代名詞のような存在だった。
それが今や、ファストファッションの主力商品。
「ストレッチデニム1本、990円」「ケミカルウォッシュデニム、2本で2,990円」。

こんな表示を店先で見ても、別に驚きもしないだろう。

「『いかに履き込んだように見せられるか』という“フェイク”の加工ができるようになったもんだから、人々は本来長年履かないと出ない”ジーンズの味”をお金で買うようになってしまったんです。それも、ものすごい低価格で。」

売れれば売れるほど。「誰かが犠牲になる」仕組み

Photo by Tomoko Suzuki

“フェイク”加工という、アパレル業界の技術革新。

世界中で「履き込んだように」見えるジーンズが大量生産されている。
しかし、その便利さと安さの裏には、過酷な労働環境が隠されているのだ。
加工は過マンガンカリウムや塩素などの化学物質を使って行われる。
安全管理が出来ていない工場で働く労働者たちは、そうした化学物質に苦しめられている。

目が痛い。鼻が利かない。食べ物の味が分からなくなる。目まいをおこす…。
中国やバングラディシュなど、未だ過酷な労働環境にある工場では、そうした症状を訴える労働者が後を絶たない。
細川はそんなひどい現場を目の当たりにして、「これでいいのか」と疑問を抱いた。

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「普通であること」が「一番難しいこと」?

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細川にとっての「エシカル」の定義はとてもシンプル。

正しいものを作って、正しく売る」という、本来のあり方に立ち返ることだ。

「つまり、仕事の基本。正しく作って、売って、買って、という“スタンダード”が『エシカル』なはずなんですよ。けれど、そこに関わる人の「欲」が「強欲」に変わった瞬間、『アンチエシカル』になる。より儲けを生むとか、より何かをしようとすると、バランスが崩れてどこかに歪みが生まれるんです」

Photo by Tomoko Suzuki

「エシカル」は、何か特別なことをするというよりも「ビジネスの基本的な考え方」なのかもしれない。

「超大量生産」は世界最高の「エシカル」だ!

Photo by Tomoko Suzuki

ネガティブな印象の強い、大量生産という言葉。
商品の値段を下げるだけ下げて、その裏には過酷な労働環境があるというイメージだ。
しかし、Lee Japanは、“サスティナブル”な大量生産を行っているのだそうだ。

「私たちの方法は、大量生産するからこそ、生産性を上げてコストを圧縮するという方法です。安くは作るんですよ。けれど、生産性を限界値まであげることによって、売り上げは担保されるわけです。1日に1,000本しか作れないシステムよりも、2,000本を作るシステムにしたら、入ってくるお金は大きいわけですよね」

一人の生産性を上げることで、企業も工場も多くの売り上げを得る。

そうしたシステム作りが、結果として「作り手にも売り手にも買い手にも負担のないサイクル」を創り出す可能性を秘めているのだ。

「不良」精神がサステイナブルの鍵

Photo by Tomoko Suzuki

「ワルとか不良って本来、優しさの上に立っているものなんですよ。仲間を守るとか。男の子は優しさに憧れてるんですよ。そこをくすぐるようなものとか、ブランディングじゃないと、男性はなかなか“かっこいい”と思わないですよね」

作り手にも、売り手にも、買い手にも優しい商品。
そんな商品には、外見的に“かっこいいもの”がなかなか存在しないのが現実だ。

Photo by Tomoko Suzuki

だからこそ、細川はその「不良精神」と「優しさ」の間に立つスタイルの提案を、Lee Japanのデニムを通して行っているのだ。
そして細川は、ことさらにこのような価値基準で生きることを「目標」にすべきではないと主張する。
「仕事をやっていく上でごく当たり前の感覚を大切にしていれば、結果としてそれが「エシカル」になる」
細川が語るように、「エシカル」という言葉が当然になってこの社会からなくなったとき、本当に「エシカル」な世界が訪れるのかもしれない。

Photo by Tomoko Suzuki

Writer: Jun Hirayama

from BeInspired!

 
 

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