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悩める男女に寄り添う、“見えない恋人”たち

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「彼氏はいる?」「結婚はまだ?」「だからまだ独身なのね」
結婚適齢期を過ぎた独り身にとって、キツーい言葉。「恋愛したくたって、いい人がいないんだもん」「なんでそんなこといわれなきゃいけないの」と返したくても口には出せない。心のどこかで嘘をついて「彼氏がいない」事実を隠したくなってしまう。「彼氏いるよ!」。その一言をいえたなら、どれだけ救われることだろうか。ケイティもそんなことを感じる「彼氏なし」のアラフォーの一人。

そんな人たちに、今年1月、朗報が舞い込んだ。米国で彼氏・彼女を届ける恋愛サービスが誕生。せっかくの彼氏・彼女だが、実際に「その恋人の姿は見えない」という。いったい、どういうサービスだ?恋人がいない人たちを本当に助けることができるのか?

人々の間をコッソリと飛びまわる見えない恋人たち

彗星のごとく現れたアプリサービス「Invisible Boyfriend(インビジブル・ボーイフレンド)」。メール、電話、ヴォイスメールで、その架空の彼氏・彼女から完璧なタイミングと、会話の文脈にあった返しがくる新サービスだ。

『ときめきメモリアル』の進化版ともいえるが、リアルを追求するそのこだわりは従来のそれとはケタ違い。ユーザーは相手の名前や出身、趣味、どこで出会ったなどのバックグラウンドまでつくり込み、従来の出会い系のようなサクラ(人間)ではなく、アルゴリズムを使ってコンピューターで自動返信される。

さらに一般人から提供された写真を使用し(ちなみに写真提供者には謝礼金が支払われる)、よりリアルな関係をつくり出す。たとえば、会話にはユーザーの好みを反映させることができ、実在するレストランの話を持ち出したり、今後はデリバリーを利用して花などのギフトを実際に届けるサービスを展開しようとしている徹底っぷりだ。

 この様子をみた周囲は、「ちゃんと彼氏はいるようね」と捉え、ぶつくさいわなくなる。つまりは、人を騙し、「自分のことは気にしないでくれ」という主張をするためのツールだ。

だが、その目的は多様化している。ゲイやレズビアンであることを隠したい、異性と交際のし方が分からない人が練習したい、スラングなども含め英語の勉強をしたい、と新たな使かわれ方も開拓されている。

恋愛できない人や理想の恋人を求め、ゲームやアプリ上で相手を見つけ恋愛ごっこを楽しむサービスは多数存在したが、「Invisible Boyfriend」は恋愛ごっこを提供するだけでは終わらない。

「人を騙す」が世界を幸せにする

このアプリを開発したのは、Matthew Homann(マシュー・ホーマン)。

異性との関わりがないことを心配する両親からは何回も同じ質問を尋ねられ、友達からは求めてもいないアドバイスをされた経験をもとに、「僕と同じ経験をしている人たちのために」と立ち上がった。

未婚者が年々増えてきている米国で、「待ってました!」といわんばかりに注目が集まる。2013年にミズーリ州セントルイス市のスタートアップイベントで、隙間市場へのするどい視点と、斬新な解決法の提供が評価され見事に優勝。ビジネスとして本格的にスタートした。

今年1月にサービスを開始してわずか二日後には1万1,000人のユーザーを獲得、さらに1ヶ月で4万5,000人までに。いまやその勢いはとどまることをしらない。

「目に見えない彼氏」と聞いて、怪しい名前に好奇心はそそられるのは確か。興味本位で登録したのでは?と思ってしまうが、月額25ドルの有料サービスでも登録するのだから、それなりにニーズがあったといえよう。

実際の利用者からは「本当に異性と交際しているみたい」「恋に落ちるかもしれない」という声もあがるほど。女性向けにはじまったサービスだが、男性向けの「Invisible Girlfirend」も登場した。現在、アメリカとカナダだけのサービスだが、世界進出も計画中だ。

浮気中?返信が返ってこない理由

「ただいま10テキスト(会話)まで無料体験サービス」を実施中の「Invisible Boyfriend」。筆者もさっそく登録してみた。しかし、返事が2時間経っても返ってこない。

「ねー、なんで返信くれないの?浮気してるの?」と甘えたメールを送ってみると“彼”から「現在サービスが混み合っているので、有料登録をしていただいたカスタマーを優先させていただいております」との返信。

「Invisible Boyfriendはかなり忙しくしていて、商業的だ」ということを、くれぐれもお忘れなく。

 変わりゆく結婚観からも「見えない彼氏」が果たす役割が大きくなっていくのは間違いない。しかし、見過ごしてはならないことがある。デートの約束をしても、プロポーズをされても、その相手には会うことはできない。

両親や友達に彼氏がいると信じさせることができても、それはそれで、もっと細かい質問をされるだろうし、スマホの中の彼氏が理想に近く、実世界で相手を探すモチベーションが下がってしまうことも考えられる。本当に「Invisible Boyfriend」に恋してしまったら、周囲に「これが彼氏だ」なんていえるだろうか。斬新で面白いアイデアであることは確かだが、果たして、恋愛できない人、していない人の悩みを根本的に解決することになるのか、と疑問は残る。こんな突っ込みどころ満載のサービスだが、今後世界へどう拡大していくのかを見届けたい。

Writer: Eisaku Kawaura
Illustrater: Mikko Yamabasyashi

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