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Francesco Vezzoli〜現代の狂騒〜

ART

彫刻、映像、パフォーマンス。どれをとっても、ナマの時代の空気感が感じられる彼の表現に目が離せない。

総合芸術家、Francesco Vezzoli(フランチェスコ・ヴェッツォーリ)

フランチェスコ・ヴェッツォーリは1971年生まれのイタリア人アーティスト。現在はミラノに拠点を置きつつ、グッゲンハイム美術館やロサンゼルス現代美術館(MOCA)での個展を始め、台湾や中国、フランス、ドイツなどでも作品を発表するなど、ワールドワイドに活躍している。

キャリアの初期は刺繍の作品を中心に発表。その後、映像作品、パフォーマンスや彫刻など、表現の幅は広がっており、その手法に注目が集まるアーティストだ。

また、ゲストキュレーターとして活動することもあるなど、もはやアーティストというよりもアートを生み出すプロデューサーのように縦横無尽に活動している。

「見られる自分」に糸で縫いつけられた「心の内」

この作品のモデルはLady gagaである。刺繍の作品では、レーザープリンタでキャンバスに印刷された往年の俳優や著名人、スターのポートレイトに、刺繍を施すのが彼の主な手法。

ピカソの妻であったオルガをテーマにした作品。

刺繍で涙を縫い入れる作品は多数あり、エリザベス・テイラーやカトリーヌ・ドヌーヴなどをモデルにした作品も。

Lady gaga(レディー・ガガ)を起用した、現代の「総合芸術」

2009年に行われたMOCAの創立30周年を祝うパーティー。そこで、MOCAよりパフォーマンス作品の依頼を受けたフランチェスコは、「イタリア式のバレエ・リュス(二度と見ることのできない短いミュージカル)」と名付けた作品を披露した。

バレエ・リュスとは1909年にパリでデビューした伝説のバレエ団。美術や音楽など多方面に革新をもたらし、バレエダンサーであり振付家であるニジンスキーや、作曲家ストラヴィンスキーなどを、世に広く知らしめた。そして関連人物としてシャネルやピカソ、デ・キリコなどが挙がるなど、舞台美術や衣装、音楽、振り付けなど全方位で作り上げた作品は「総合芸術」として高く評価されている。

フランチェスコは、当時のバレエ・リュス周辺の、多方面の芸術分野を巻き込んだ熱狂を現代に呼び覚ますかのように、各界の著名アーティストらの協力のもとに新

たな芸術の歴史的節目の訪れを宣言するような作品を作り上げた。

レディー・ガガをパフォーマーとして迎え、ダンサーはボリショイバレエ団から、そして衣装はmiumiuを立ち上げたミウッチャ・プラダが担当。

Photo from
ZIMBIO

他にも、レディー・ガガがパフォーマンスの中で弾くピアノはダミアン・ハーストがデザイン。

Photo from NBC CHICAGO

また、美術館の設計も手がける世界的建築家のフランク・ゲーリーに、彼のキャリアでは初となる帽子のデザインを依頼し、レディー・ガガが身につけてパフォーマンスをした。

CMそのものをパロディ化。映像で紡ぎ出す現代の様相

架空のハイラインブランドと、その新作香水(作品の中で「GREED(欲張り)」という名称がつけられている)のCM、という設定で制作した映像作品では、ナタリー・ポートマンやミシェル・ウィリアムズが出演。

沢山の消費活動があって、せめぎ合うようにCMが流れていることも現代のリアル。
映像の中のキャットファイトも馬鹿馬鹿しく、最後に男(フランチェスコ本人)が登場するシーンなどを見ては、確かにこんな安いドラマみたいな現実が毎日毎日世界中のいたるところで繰り返されているな、とあきれかえるような気持ちにさせられつつ、でもクスリと笑えてしまう。

大理石の彫刻群で表現するのは、ありのままの人間模様

大理石の彫刻といえば、誰しもが真っ先に、筋骨隆々の裸体の男性や、優雅なポーズをとる女性の流線美を想像するだろう。

古来から存在する大理石の彫刻も、彼にかかれば現代的なテーマのアートに。いや、実は太古の昔から存在する人間のリアルを表現しているのかも。知らぬ間に美術の表現としてタブーになっていたものが何だったのかに気づかせてくれる。

Photo from Franz Magazine

人によっては不謹慎、あるいは悪趣味にも見えてしまうかもしれない彼の彫刻。

しかし、もしも私たちが古代の彫刻を発見したように、今から何百年、何千年も後の世界で人々が地面を掘り起こして見つけるのがフランチェスコの彫刻作品だったら、と想像すると面白い。

インスピレーションの源は「現代社会」そのもの

作品の形態に幅はあれど、彼の主な関心事は「現代社会」や様々な「時代」だという。確かに、現代の人々の情熱やメランコリーなどが生み出す渦のようなものを感じとることができる。そして、有象無象の積み重ねで成立している現代社会でも、その馬鹿らしさも含めて人生は素晴らしい、と思わせてくれるような絶妙なバランス感覚が楽しい。

映画や音楽などの産業もインスピレーションとなっていて、時代のアイコンとなっているセレブたちがノーギャラで出演してくれることも多いそう。

アート業界を飛び出して様々な人々を巻き込みながら、作品はもとよりアートそのものの存在感を拡大し続ける、彼の今後に注目だ。

Writer: Awako Hori

 
 
 
 

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