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現代アート”コンテナ輸送船”から世界中へ発信!?

ART

Photo by Fabio Mascarenhas from Flickr

芸術はビジネスと共に海を越える。

ただ、アーティストたちの乗り込む先は、ジャンボジェットでもなく、豪華客船でもない、商用目的のコンテナ輸送船

新しいカタチのアーティストインレジデンス。

斬新なワークスタイル。

7人の強者芸術家、海を渡る

「作業スペースは海の上」

船長や海上保安官、漁師の話ではない。
芸術家やクリエイターたちの制作現場が、大海原へと飛び出した。

その名も、「コンテナアーティストレジデンシー(以下、CAR)」

一度のプロジェクトで招待されるのは、数千を越える応募の中から厳選な選考を通過した7人の芸術家たち。
彼らが乗り込む先は、商用目的のコンテナ輸送船だ。

「これまでのアーティストインレジデンスは、特定の土地に滞在しながら作品制作をすると いうものでしたが、CARは世界を旅しながら制作に取り組むというもの」と発起人のMaayan Strauss(マーヤン・ストラウス)は話す。

CARの旅路は、船の貿易ルートに限定される。
それでも、移動期間中の住空間と作業スペースの提供に加え、$1,000の報酬金と上限$5,000までの材料費がCAR側から支給されるという充実ぶり。

ホスト企業には、作品の著作権認可や『ヴェネツィア・ビエンナーレ』といった有名な芸術祭への社名掲載が保証されるという仕組み。

貨物船という交通手段

CARのアイデアは、マーヤンのほろ苦い経験に起因する。

米国・イェール大学在学中に 故郷のイスラエルへ帰京したものの、再度渡米するための金銭的な余裕がなかった彼女。だが、「貨物船で帰ればいいんじゃない」という友人の冗談めいたアドバイスに発想を得た。

大手貿易会社との交渉の末、乗船を許可されたマーヤン。
「初めて見た港の風景は非現実的でした。でも、巨大なコンテナや重機が低い唸り声をあげ、作業員の指示が飛び交うその光景は懐古的でもあり興奮したわ」

異空間での制作体験が、彼女の世界観を広げ、その後の芸術活動に大いに役立ったように、社会とのつながりを意識した意欲溢れるアーティストを育成していくことをプログラムの目標に据える。

単なる輸送船のスペース有効活用やリモートワークといった働き方のヒントを示すだけでなく、芸術と社会・経済との対等な関係性を紡いでいく。

国際貿易の付加価値を問う

「貿易」と聞けば、国際ビジネスの現場をイメージする人も少なくないだろう。それでも、CARの取り組みは、これまでの既成概念に新しい視座をもたらしてくれる。

暮らしに必要なモノを輸送するだけが貿易の役割ではないはずだ。国境を越えた交流やアイデアの循環を生み出してこそ、貿易業としての付加価値があるといえる。

アーティストがコンテナ船に便乗し、国境を越えることは、芸術活動の広がりや交易機会の創出に他ならない。

「私たちは、輸送業を経済活動の根幹と現代アートの発展を支える産業と認識しています」とマーヤン。

コンテナ船という、国際ビジネスの最前線にアーティストを乗船させることで、彼らの創造力を刺激し、芸術家としての社会的役割や制作テーマについて再考するきっかけを提供する。

時に威圧感さえ覚える、無機質な鉄の固まりが轟音を立てて海面を掻き回す。その上に設けられた、わずか12m²の限られた作業空間。
そこには、現代アートと国際ビジネスの未来が詰まっている。そんな希望を胸に、今日も水平線に浮かぶコンテナ船に想いを馳せてみたい。

Container artist residency

Writer: Kenji Takeuchi

 

 

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