HEAPSmedia

世界で一番“ルールが厳しい”本屋 ロンドンで誕生

CULTURE

Photo by Iwan Baan. From BCC

リサイクル木材を使った手作りの本棚が、店内の両壁をジグザグに走る。
床から天井までを埋め尽くす膨大な数の書物。カスタムメイドランプの温かい光が全面鏡張りの天井に反射し、無限の空間にいるような錯覚を呼び起こす。

イーストロンドンの本屋「Libreria(リブレリア)」は、2016 年 2 月末にオープンした。
外観は普通の本屋。だが、店内での厳しすぎるルールが逆に人々の注目を集めている。そこは、パソコンやタブレットの使用はもちろん、携帯での通話やメールのやり取りが一切禁止された完全なるデジタルデトックスの世界。

運営を手掛けるのは、同地区の起業家やクリエイターが集うコミュニティスペース「Second Home(セカンドホーム)」の創設者、Rohan Silva(ロハン・シルバ)、Sam Aldenton(サム・ア ルデントン)、Sally Davies(サリー・ダビエス)の3人。

なぜ、今、本屋なのか。

Photo by Rohan Silva. From theguardian

「デジタル化中心の世の中に傾倒しつつあるいまだからこそ、改めてモノづくりや人のつながりといったアナログ的な良さを伝えられる空間が必要だと考えていたの」とサリーは語る。

本屋の本質とは

「リブレリアは、これまでの本屋とは一線を画する」と創業者の3人は口を揃えていう。
デジタル機器の発する電波やノイズから開放され、現実世界とつながり新しいアイデアに出会うための空間づくりをロハンたちは目指している。

四方八方を本に囲まれた空間に身を置けば、ネットのアルゴリズム検索では出会うことのなかった未知の世界とつながれる。それもそのはず、リブレリアでは、「フィクション」「科学」「小説」といったオーソドックスな区分けはせず、「海と山」「愛」「恐怖」など示唆に富んだテーマをもとに、閲覧者の「思いがけない発見」を呼び起こす仕掛けが施されている。

さらに、トークイベントやミニライブなど多様なイベント企画を通して人のつながりも生みだす。
「本を介して生まれる気づきや対話、コミュニティ形成の促進」が、リブレリアのビジネスの本質といったところか。本を売るだけで良しとされた時代は終焉を迎えることを暗に示す。

リブレリアとロンドン

Photo by SelgasCano. From treehugger

順調な滑り出しを見せるリブレリアの運営。
その一方でロハンは、ロンドンの変わりゆく街並に危機感を募らせる。
ここ数年、金融街として世界的にも注目を集めるロンドン市内から、由緒あるバーやライブハウスが次々と姿を消しているという。

「暮らしや経済のエンジンとなる創造性や技巧を発信する場所が廃れていけば、ロンドンというまちでさえ、経済的にも困難な時代に突入すると思うんだ」とロハン。
日本でも、巨大なショッピングモールの地方進出が、まちの景観や人々のライフスタイルを画一的なものにしている傾向にある。今、「人と店とまち」の関係性を見据えた空間設計が問われている。
「これからも多様な人が集い、芸術やアイデアが交錯する場所。知性と感性を刺激する暖かみ溢れるアナログ空間を目指していきたいです」とサリーは話す。

リブレリアが、本屋と呼ばれる日も遠い未来の話ではない。

Writer: Kenji Takeuchi

 
 
 
 

この記事が気にいったら、いいね!しよう
HEAPSmediaの最新情報をお届けします!

TAG


アプリで、HEAPSmediaを楽しむ。

どこでもいつでもサクサク快適に“遊び”が見つかる。

HEPASmedia

DOWNLOAD NOW!

アプリ画面

PAGE TOP