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大衆娯楽に自由な風を吹き込むBDの世界へようこそ

ART

近年注目を浴びているBD(バンド・デシネ)をご存知だろうか?
多彩な線、美しい絵柄、アーティスティックなストーリー…。大量生産、大量消費の時代の中で際立った存在感を出すBD。今回はそんなBDの世界を紹介したい。

BD(バンド・デシネ)って?

BD(バンド・デシネ)とは、フランス語圏の漫画のことである。フランス、ベルギーなどで独自の発展を遂げたものであり、向こうでは建築、絵画などと同様に芸術作品として認められている。そのため、日本の漫画よりアーティスティックな傾向が強く、オールカラーのものが多い。出版物の判型も基本的にはA4かそれより一つ大きい判型のものが多く、日本のものより大きい。

BD作家を紹介

ここからはBD作家を紹介する。「あの作品もBDだったんだ」と思う作品も出てくるだろう。
 
エンキ・ビラル

エンキ・ビラルはBD界の中でとても有名な人物。映画監督としても活躍していて、有名なもので「ゴッド・ディーパ」がある。SF映画界においても重要人物。彼が作り出す世界観は見る人を圧倒する。
 
ニコラ・ド・クレシー

ニコラ・ド・クレシーはBD作家としては珍しく、日本のウルトラジャンプにて「プロレス狂思曲」を連載していた。彼が描く線はどこか懐かしくもあり、見ている人を飽きさせない。あと、作中にブヨブヨした謎の生き物がよく登場する。
 
エルジェ

ご存知の方も多いだろう、「タンタンの冒険」もBDの一つだ。作者はエルジェというベルギーの漫画家。1983年に亡くなっている。しかし彼の作品は現在でも映画化されるなど、私たちの中で生き続けている。
 
フアンホ・ガルニド

フアンホ・ガルニドの絵は日本人も好きな人が多いのではないだろうか?
もともとディズニーで働いていたガルニド。「ターザン」「ヘラクレス」などに関わっていたそうだ。絵もディズニーの影響を感じさせる。親近感があり、色彩が美しい。画像は「ブラックサッド」のもの。
 
フランソワ・スクイテン

スクイテンの絵柄は銅版画を思わせる緻密で繊細なものが多い。2012年に日本で刊行された「闇の国々」第1巻が文化庁メディア芸術祭マンガ部門において海外作品で初めて大賞を受賞。その他にもパリの地下鉄のデザインなどもしている。
 
メビウス

メビウス、別名ジャン・ジローはBDにおいて最重要人物と言っても過言ではない。宮崎駿、大友克洋などが彼からの影響を公言しており、手塚治虫は彼の陰影の線の描き方をメビウス線と名付け、自作に用いた。世界中にファンを持つBD界のみならず、アート界の巨匠。彼については彼単体で後日、記事にする予定だ。

いかがだっただろうか?
美しい絵柄が多いので見ているだけで楽しめたのではないだろうか?

BDと日本漫画、アメコミの違い

連続性をもち絵でストーリーを伝えるというのはBDも日本の漫画もアメコミも違わない。
何が違うのか。

それは作家性に尽きるように思う。
BD作家はストーリー、絵、彩色を全て一人でやる作家が多く居るという。日本の漫画はアシスタントを雇い、彩色はしないのが基本だし、アメコミはストーリー、絵、彩色は分業となっているのが基本だ。大衆娯楽として漫画を多くの人に届けるには分業制の方が合っている。全てを一人でやるというのは世界的に見ても珍しい例のようだ。全てを一人でやるというのは途方も無い労力が必要であるが、それと同時に作家性というその作家独自の世界観が色濃く作品に表れる。

もちろんBD作家にも分業制で描いている作家も少なからずいるし、フランスにおいては作家性の強いものより大衆娯楽的な作品の方が一般的のようだ。しかし、日本で注目されるBD作品はそうでないものが多い。殆どの作業を一人で行っている作家性の強い作品が注目浴びる。

なぜか?
それは日本が失いつつある「自由さ」にあるのかもしれない。

自由への憧れ

大衆娯楽として漫画をたくさん売るためにはフォーマットがある程度必要になってくる。売れているものの特徴に習ったものが市場には多く並ぶことになる。さらにスピードも必要だ。日本の漫画は週刊、月刊というスピードで刊行される。より多く、消費させるためにはどんどん新しいものが必要になってくる。その結果連載を持つ多くの漫画家が経済的にも安定できているというのも事実だ。それにひきかえBD作家は連載という形ではなく1〜2年かけてじっくり一冊の単行本を製作するというスタイルが一般的であり、経済的な安定が難しいと言われる。多くのBD作家がイラストの仕事やアルバイトをしながら作品を作っているのだ。

何がいいというのは難しい話だ。お金か自由か。これは現代人が抱える永遠のテーマでもある。
しかし、今の日本で作家性の強いBD作品が注目を浴びるというのは、大量生産、大量消費の時代に対する反発のように思える。

それは忙しい日本人が憧れる「自由さ」への渇望かもしれない。

一人の作家が多くの時間をかけ、自由に描いたBDは私たちに自由の風を運んでくる。売れるために作られた商品ではなく、自由な空気を持ったその作品は私たちが忘れている何かを思い出させる。

仕事に追われる毎日、ふっと心を落ち着ける休日にBDのページをめくり、自由の空気を深く吸い込んでみる。そんな休日もありじゃないか。

Writer: Tada Takato

 
 
 
 

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