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化粧品は”プリント”する時代?発明家女子の企み

TECH

Photo by Kuo-Heng Huang

「化粧品をプリントアウト」。

その発想とアイデアは、ハイテク世代と呼ばれる30代の企業家らしいイノベーションだ。
2014年春、先端技術系起業フォーラム「Disrupt」でひときわ大きな喝采を浴びた「Mink」。
コンピュータとつないでオリジナル化粧品をプリントアウトするデバイスだ。

発明したのはグレース・チョイ(32歳)。
彼女は、既存の美容業界に戦いを挑んでいるのではなく、化粧品に新しい価値観を提供しようとしている。

アイデアの始まりは「めんどくさい!」から

Photo by Kuo-Heng Huang

「発明ビジネス」でニューヨークの起業シーンに新しい風を吹かせるグレースを訪ねた。

「着想の原点は映画“フィフス・エレメント”に登場した自動メイクアップ装置よ。
一瞬にしてメイクしてくれる機械を作るのが夢だったの。だって、メイクって女の子にとっては毎日のことで、結構面倒くさいものなのよ」。

Minkの発案者、グレース・チョイはハーバード大学ビジネススクール出身。
ブルックリンのグリーンポイントで生まれ育った。

理系の名門高校からコーネル大学に進み、観光学や会計学を専攻したが肌に合わず、結局医学関係の発明・技術開発を専門にする教授に師事して「発明」の基礎を叩き込まれる。
「主にMRI(核磁気共鳴画像法)関連でしたが、人のために役に立つ新技術の開発は胸躍るものだった」という。

ただし、医療技術の開発には長い年月を要する。「もっと早く結果の出る発明をしたい」グレースは、発明品の方向性を服飾品やヘルスケアプロダクトなどの一般消費財にシフトする。

Photo by Kuo-Heng Huang

そんな矢先、「発明コンテスト」に提案したのは、ブレスレットやイヤリングに変形するネックレス。

これが見事に優秀賞を勝ち取り、本格的に発明家としての道を歩みはじめる。
経歴や資格が必要だったグレースは、名門ハーバード大学のビジネススクールで、みっちりと最先端の経営学の勉強をした。

リップもファンデもボタンひとつで作れる、夢のマシン

Photo by Kuo-Heng Huang

卒業後、本格的に新商品開発に取り組む。

「何ができるかな?と思った時に、調べてみたら化粧品市場に可能性が見えてきた。実は、若い子たちが買える手頃な値段の化粧品に色のバラエティが非常に少ない。変わった色がほしかったら、専門店に行かないといけないし、高い。化粧品の原材料は、ブランドごとに違いはほとんどなく、実際は非常に安価なもの。」

結局、ブランド品はイメージとパッケージで付加価値を付けているだけ。
そんな化粧品市場に風穴をあけようと思って、考えたのが、プリンター技術を応用した家庭で作れるオリジナル化粧品のデバイスMink

まず、市販のインジェクト・プリンターをガンガン改造。紙の代わりに化粧品のベースをセットし、インクの代わりにフード・カラリング(食紅)を装填する。

書類や画像ファイルをプリントする要領で、スクリーン上に現れる写真、動画、イラストなどのありとあらゆるソースから好みの色を選び、その「カラーコード」を読み取ったら、あとは「印刷」ボタンをクリックするだけ。

あっという間に指定した色のリップクリームやファンデーションができ上がる。
多少手の込んだ準備をすれば、ネイルにだってプリントできる。

かつては「現実不可能な、遠い夢の世界」だったものが、いとも簡単に考えられるのは、身近にある既存のデバイスを熟知し、応用できる今の時代の若者だからこそだ。

革命に挑む若き起業家

Photo by Kuo-Heng Huang

発表以来、Minkはネットメディアを中心に話題の的だ。
グレースは新しいマーケットに対する批判的な声もゆうに乗り越えてきた。

「このアイデアは化粧品業界に革命を起こすかもしれない。化粧品を店に買いに行く商品からコンピュータでプリントアウトする商品に変えるのが私の目標です。人々や時代の価値観が変わったときに最大の喜びを感じますね」。

30歳、グレースのユニークな発明が市場に出て、どう社会や生活の一部になっていくのか楽しみだ。

※この記事は、HEAPSに2014年11月に掲載されたものを編集したものです。

Writer: Hideo Nakamura

from HEAPS

 
 

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